「内田善美」さんという、読者時空を支配する神

以前。
といっても結構な以前、Twitterでこんな記事が流れてきました。
消えた漫画家、内田善美のクオリティーが凄い!

で、そうかー、そんな漫画家がいるのか、読んでみたいな、とつぶやいたところ、
月イチで集まってる「松山の模型のお茶会」でいつもご一緒する@hainekoさんが
「持ってますので今度お貸ししますよ」と言ってくださり、
貸していただいてはや数ヶ月(汗)。
貴重な本なのに・・・。

で、すでに何回か読ませていただき、すっかり「やられて」います。


貸していただいたのは
「星くず色の船~内田善美傑作選1~」
「秋のおわりのピアニシモ~内田善美傑作選2~」
「ひぐらしの森」
「かすみ草にゆれる汽車」
「空の色ににている」
「星の時計のLiddell 1~3巻」
「草迷宮・草空間」
の、計9冊です。
hainekoさんは主に古本屋で集めたそう。今では入手困難です。



で、読ませていただきまして。
せっかくですのでつたない感想など。

まずやはり最初に圧倒されるのは、よくいわれてる、緻密にすぎる「絵」のすごさ。
どれだけ時間をかけてるんだろう。
当然アシスタントさんによる仕事もあるんですが
その手数をコントロールするのも作者の力量なので
あらわれてる表現は全部作者のもの。
すごいです。
漫画以外の一般にいう「画力」的には、実はそれほど高くはないと、
(自分のことは棚にあげて)失礼ながら感じますが
作者の、「絵の力を信じている」という確信はものすごく伝わります。
その確信が、この絵を描かせている。
描き込みのぶんだけ意味がある。

それから、セリフとモノローグのすごさ。
僕は正直、この作品群の全部は捉え切れませんでした。
とにかく、ニュアンスの連続なのです。
明確なあらすじというものが無く、心のうつろいという
捉えどころのないあやふやなものを手がかりにお話が転がるので
読み飛ばすと、ワケがわかりません。読者に親切な漫画ではないです。
それでも読み進むことができるのはやはり、セリフやモノローグの
「言葉」のチョイスの素敵さではないでしょうか。
1970~80年代の作品ですので、当時の時代の空気による
今ではちょっとなじみにくいノリもありますが(汗)

物語、は全て、フワフワとして捉えにくく、
物語と密接にリンクしている言葉とはいえないために
強く印象に残るセリフというのは無いんですが
読者が「どういう意味だろう」と、「考えたくなる」セリフの選び方。
先に述べた「作者が信じている絵の力」と合わさり、
読者の「時間」を支配していきます。
サッと読むだけなら、数分で読める一話でも、
下手したら、作者が描いただけの時間を使ってでも読み込みたい、と
思わせるだけの力がある。
これは、漫画でしか到達できない表現だと思います。
というか、少女漫画という「ことさら特殊」なジャンルにしかできない。
それだけ、読むにはエネルギーが必要ですが。


一貫性のない文章ですみません。
とにかく、非常に勉強になった、ということが言いたかったのです。
僕が10代のころに出会ってたら、漫画というものに対する覚悟がまた違ってたんだろうなあ。
と、思いました。

気軽に接する機会は無いかもしれませんが
おすすめです。
内田善美作品!
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by osekkaisensei | 2013-08-29 03:17 | マンガ | Comments(0)